2021年は想定以上の驚きに満ちた一年となりました。
本来であれば、ワクチンが新型コロナウイルスを抑え、グローバル経済を問題なく再開させるはずでした。しかし、感染力の強い変異株が新たに現れ、この経済正常化のプロセスを遅らせています。
インフレ率は需要減少(供給過剰)による押し下げにより低位での推移が見込まれていましたが、世界的な部品・原材料不足の深刻化が物価を押し上げ、その上、エネルギー価格の高騰も重なり、予想を上振れています。
また、従来通りのことながら、政治家や政策当局による決定が市場変動要因となりました。特に、米連邦準備理事会(FRB)の6月の記者発表や中国の「共同富裕」に伴う規制強化は重要な節目となり、投資家の予想を覆す展開となりました。
市場がこうしたマクロ経済情勢の大幅な変化に合わせて揺れ動くことは避けられません。その要因がコロナの感染状況、インフレの高進、あるいは予想外の重要政策かにかかわらずです。
2021年は、リフレ政策の効果に期待したリフレ取引が本格化する中で始まりました。債券市場では利回りが上昇し、株式市場ではシクリカル銘柄やバリュー銘柄がアウトパフォームしました。しかし、インフレ率が上昇し始めたまさにその時、皮肉なことにリフレ取引は息切れし、後退に転じました。
現在、長期の実質金利は年初の時点と同様に最低水準で推移しています。また、金利が現状のように低いため、株式のバリュエーションは高く、これは順当な動きです。
こうしたシクリカルな状況以外では、市場は構造的変化、すなわち社会全体の活動や行動様式の多大かつ広範にわたる変化に左右され続けています。
この構造的変化の中で最も重要なものは、地球全体の視点からすれば間違いなくエネルギー転換でしょう。このエネルギー転換関連の分野でもサプライズがありました。2021年は気候変動に断固たる政策を講じることを目標とする新たな誓約とともに幕を開けましたが、グリーン(環境関連)株のバリュエーションが下降線を辿ったのです。
2022年もサプライズがあることは間違いないでしょう。
経済の道筋には根本的に不確実性があり、それを動かす要因として、サイクルの変化、政策当局のスタンス、構造的トレンドなどが挙げられます。また、流動性が低い市場の場合、マクロ経済面のサプライズがバリュエーションの大幅な変化につながることもありえます。
言うまでもなく、不確実性は資産運用業界にとって投資機会を意味します。市場は十分効率的であり、事実があればそれを織り込みますが、不確実性はアクティブ運用を行う運用会社がお客様のためにリターンを高める余地をもたらします。ただし、投資家の皆様に堅実なリターンを提供し続けるためには、他社とは一線を画する徹底した分析に基づく確信度の高い投資戦略の探求以外に他ならないと私たちは信じています。
2021年、BNPパリバ・アセットマネジメントはお客様にリターンをお届けする能力を高めるべく一貫してリソースを投じ、社内文化の強化やプロセスの改善に取り組み、投資アイデアを策定し、ストレステストを行い、最終的にはポートフォリオでの重要なポジション構築プロセスに結びついています。
2022年もこの取り組みを継続して参ります。また、プロセスの中心にサステナビリティがあることも重要なポイントとなります。私たちにとって「サステナビリティ」とは、企業と積極的に対話(エンゲージメント)し真の変革を実現すること、そして、こうした資産に積極的に投資を行うことです。
投資家の皆様がネットゼロへの移行を支える投資の道筋で私たちのパートナーでいてくださることを願っています。
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